ついたちまいり 獅子王の話   (10月1日のおはなし)


今日は10月1日です。

すっかり日が短くなってきました。お彼岸さんも終わり、これから次第に夜が長くなってくるのでしょう。

そして今日から衣替え。

   たしかに肌寒くなってまいりました。今日のついたち参りも、皆さんでいただくお茶も冷たいのより、温かいお茶をだしました。

 お茶が美味しい季節でもありますね。そしてそうこうしているひまにもう報恩講がきて年の瀬になるのでしょう。

 ああなんて早いのでしょうね。光陰矢の如し。

 そういえばお釈迦様の前世のお話である「ジャータカ物語」の中に

獅子の王様の話を思い出しました。

 人間が獅子の王に戦いを挑んだとき、獅子の王が言いました。

 「弓の名人を4人それぞれ同じ場所に立たせ、それぞれ別の四方に向かって同時に弓を放ったとき、私はそれをすべてとらえよう」

 人間の王がこれに同意し実行させたとき、はたして獅子の王はこれらの矢を一瞬でとらえた。

 人間の王が感心し、驚愕し、恐れをなして「あなた様のお力には敬服いたしました。この世で一番早いのはあなた様でありましょう。」

というと、獅子王は

 「とんでもない、この私よりも早いものがあるのを知らないのか。

 それは命の終わる早さである。」

 といわれました。人間の王はこの旨を獅子王より学び、仏門に入られたということです。